「今年の節分は2月3日じゃないらしい」なんて気付く前に祖父が亡くなった。
糖尿病や透析で10年くらいずっと調子が悪そうだったし、今まで3回心臓が止まったことがあるから、とうとうその時が来たのかと思った。
休暇申請と引き継ぎをしたときに会社の先輩が声を掛けてくれた。覚悟はしていたから思いの外落ち着いていると伝えると、「対面するとまた変わるもんだよ」と。
社会人生活で感情が薄くなっていく感覚もあり、そんなもんなのかなと正直思った。
前回の葬式は曽祖母の葬式で、関わりが深かったわけでもなく、自分にとっての葬式への向き合いは今回が初めてくらいの気持ちだった。
合唱で死という題材はたくさん触れてきた。でも、それらはどこか自分とは遠いところにある物だなとどこか思っていた。
今回は一日葬という葬儀で通夜はない。そのため、斎場についたらすぐ告別式だった。
表情は寝ているように安らかだったがすぐに実感した。ただ悲しく涙が出たが、自分の感情はよくわからなかった。
終わってから色々な話を聞いた。
通院が厳しくなんとか入院先が見つけたこと。
入院して数日後の出来事だったこと。
亡くなった当日も朝ごはんは食べられたこと。
入院直前はセブンイレブンのカレーパンにハマって連日食べていたこと。
帰ってから、どうしてもこの感情を整理したくて人に話した。
幼少期の思い出、社会人になってから話した仕事や旅行の話、ついこないだ卒寿祝いをした話。
何年か前、本当に調子が悪そうだった正月に、蟹の爪先をちょっとだけ食べてお腹がいっぱいと言っていた祖父が、直前にはカレーパンにハマり、当日は朝ごはんを食べて旅立って行った。
途中苦しそうな年もあったが、最期は幸せな晩年となったのではないかと思う。
悲しさの隣に良かったと思えたことがあったと気付けてよかった。
今日は立春。晴れて良かったと思う。